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やっぱりSF映画が好き!
渡辺 麻紀
映画ライター
鵞鳥湖の夜
20/9/25(金)
新宿武蔵野館
前作『薄氷の殺人』が素晴らしかった中国の監督ディアオ・イーナン。自身の類まれなセンスによって世界を創ることを得意とする、まるでデビュー当時のリドリー・スコット的な監督だが、今回もそのセンスが大全開。警察に追われる殺人犯と、彼と関わる娼婦をひたすらムーディなカメラで追いまくる。舞台となる中国南部は薄汚れて貧しく、じっとりと暑いのだが、それが彼の手でスクリーンに切り取られると、驚くほど美しくなるのだ。 今回は、毒々しいネオンを使った映像が印象的で、これがまといつくような夜の闇と湿気を感じさせる。ウォン・カーワイを思い出す人もいるだろう。ただし、ストーリーは90分足らずで終わるような薄さ。映画的なムードを愛する人はぜひと言っておこう。
20/9/25(金)