登場人物の、ほぼ全員が崖っぷちの状況で、切羽詰まっている設定が面白い。韓国映画だが、原作は曽根圭介による同名の犯罪小説。 ロッカーに忘れられたバッグ、その中に入っていた10億ウォン（日本円で、約9400万円！）の大金をめぐって、それぞれ事情を抱えた8人のサバイバルがはじまる。多額の借金で、金融業者からの取り立てに追われるテヨン、暗い過去を精算しようとするヨンヒ、事業に失敗してアルバイトで生計を立てるジュンマン、借金のために家庭が崩壊したミランらの欲望渦巻く地獄絵図に圧倒される。この映画が長篇デビュー作のキム・ヨンフン監督は、荒削りながら、それを補って余りある勢いの良さで、次から次に、これでもかとばかり見せ場を繰り出す。ヨンセ役のチョン・ドヨンの悪の化身のような演技が目をひくが、さて、最後に大金を手にするのは誰なのか!?

21/2/19(金)