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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの
佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢
19/7/12(金)
新宿ピカデリー
フランス映画ではあるものの、このファンキーさと泣けるバランスに『フル・モンティ』を彷彿させられた。主人公たちがみんな冴えないオジサン(演じているのはフランスでは有名な俳優たち)というのが、なんだか親近感を持てていい。 “中ニ病”“夢追い”“童貞”など、それぞれ問題ありのオジサンたちが公営プールに集う中、一発奮起して男子シンクロナイズドスイミングのトーナメントを目指すことに。だが、もともとスポーツとは縁遠いぷよぷよオジサンたちにとって簡単にうまくいくはずもなく……という過程に笑いながらも涙腺が緩み、ラストの彼らの晴れ舞台では、まるでオリンピックを観るような気持ちで応援せずにはいられない。負け犬オジサンたちへの、美しくも力強い応援歌である。
19/7/12(金)