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水先案内人のおすすめ

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日本映画注目作を中心に、旧作上映まで幅広く

樋口 尚文

1962年生まれ 映画監督、映画評論家

ソワレ

豊原功補と小泉今日子が発足させた新世界合同会社がプロデュースした第一作がこういう作品であったのは大いに評価さるべきことだ。俳優を目指しているがどこか自信を持てず、オレオレ詐欺を手伝ったりして糊口をしのいでいる青年(村上虹郎)とその故郷の高齢者施設で働く、重い過去をもつ女性(芋生悠)が、悲惨な運命の悪戯で逃避行に出ることになる。 なんとアバンタイトルが36分という破格の映画だが、そこからは序の後で急に跳んだような道行となって俄然面白くなる。抑制的で明晰なまなざしのなかで、村上虹郎の自在な演技が愛情をもって存分にとらえられ、魅力の軸をなす。なんとなく中上健次の描く青春を初期ヴェンダースが撮っているような感覚だなと思ったら、ロケ地は和歌山の御坊と知ってなるほどと思った。小粒な作品なのに人も風景も魅力的な作品である。

20/8/25(火)

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