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水先案内人のおすすめ

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音楽、映画、アート、ステージなど幅広いジャンルをプロデュースする

立川 直樹

1949年生まれ プロデューサー、ディレクター

トルーマン・カポーティ 真実のテープ

近頃ドキュメンタリーがおもしろいということは幾度も書いてきたが、超特大の満塁ホームランのようなドキュメンタリーが公開される。 映画の中で「殺人事件をあれほど小説に仕上げた作家はいない」と証言者が語る、『ティファニーで朝食を』『冷血』などで知られる現代アメリカ文学の寵児にして、早熟の天才作家であると同時に「掛け値なしの奇人」と呼ばれトルーマン・カポーティのスキャンダラスな59年の人生を浮き彫りにした『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』は、ドラッグのように観る者を中毒症状にしてしまう危険な魅力さえ持っている。 基になっているのはジャーナリスト・作家・俳優のジョージ・プリンプトンが1997年に出版した異色の評伝『トルーマン・カポーティ』。“様々な友人たち、敵たち、知人たち、批判者たちが彼の激動のキャリアを振り返る”というサブタイトルが示すように、関係者の証言を膨大に集めたものだったが、オバマ政権時のホワイトハウスでソーシャル・セクレタリーを務め、ミシェル・オバマのアドバイザーでもあった異色の経歴を持つイーブス・バーノーはこれが初監督作でありながら、プリンプトンの取材テープやたくさんのアーカイブ映像とインタビューをうまくまとめて素晴しいドキュメンタリーを作り上げた。 編集のうまさと、映画のために録音されたジャズのリズムが抜群のテンポ感につながっていて、98分がアッという間に過ぎていった。そしてまた観たくなる。

20/11/5(木)

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