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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

燃ゆる女の肖像

本作を観て、ジェーン・カンピオンの『ピアノ・レッスン』を観たときのような感慨を受けた。荒々しい海、静寂、激しい感情と官能といった共通した要素が、そんな印象をもたらしたのかもしれない。 ただし両作品の大きな違いは、『燃ゆる女の肖像』が、女の世界だということ。18世紀のフランスの孤島を舞台に、雇われて島に来た女性画家と、そのモデルとなる貴族の娘の恋愛を軸に、女だけの館で物語が進行する。そこでは身分の違いもタブーもない。画家は見つめることで恋に落ち、モデルもまたその視線に、未知の感情を掻き立てられる。 自然光に照らされたモデルの瑞々しさ、蝋燭の明かりに浮かびあがる官能的な肌、焚き火に照らされたシルエットなど、ひとつひとつの映像に詩情と美しさが宿り、目が釘づけになる。清廉な歌声が響くサウンドトラックとともに、心を震わせる作品だ。

20/12/8(火)

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