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水先案内人のおすすめ

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白坂 由里

アートライター

石垣克子 基地のある風景 II

のどかな山の絵に見えるが、山肌がはげている部分や土砂崩れの痕がある。なんだか違和感を覚えて調べたら米軍の演習場がある山だったという。幼年時代を米軍統治下の琉球政府のもとで過ごしたこともある1967年沖縄生まれの石垣克子は、基地のある風景を描く。自然に対する知識や観察眼があれば、異変のサインに気づけるのかもしれない。 描くために高台に登る。透明な緑にも見える青い海の岸辺に、埋め立て工事のクレーン車が見える。日本に返還された土地では、ショッピングセンター建設の工事。漁民に土地は還らない。住宅地と基地が近い。東京でも青山公園から基地のある風景を描いた。 沖へ向かうカヌー、樹木などを見ると、タッチや色彩、風景や人への視線など、ほんとにいい絵を描く人だ。どこにも人々の生活がある。肯定できないものもそこに存在するのが日常だ。「等価に見る」では言い切れない複雑な諸相や心境を思い、だから絵を描くのかと思う。

19/7/27(土)

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