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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

天気の子

巨額の製作費を投じながらも、新海誠の個人映画に徹し、『君の名は。』で受けた批判を一蹴するかのように、よりラジカルに、少年と少女の「個人的な物語」を、徹底的に美しい映像でうたいあげる。 ルパン三世の登場人物みたいな大人たちによるアクションも楽しい。ヒロインの美少年の弟が、いい味付けとなっている。 大東京での、偶然の出会いが多過ぎるとか、批判はあるだろうし、主人公を含め人物たちの出自や経歴、社会状況などの背景がほとんど説明されないのも批判は覚悟の確信犯的なものだろう。この説明のなさは爽快ですらある。 ジメジメした環境での物語なのだが、湿気を感じさせない、クールな映画。その意味でも、「夏休み映画」として完璧な清涼感。 それにしても、記録的な長雨の物語の映画が、本当に記録的な長雨の夏に公開されたのは偶然なのか、天をも動かしたのか。自然は芸術を模倣する、という名言を思い出す。

19/7/20(土)

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