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中川 右介
1960年生まれ、作家、編集者
カポネ
21/2/26(金)
シネマカリテ
最も有名なギャング、アル・カポネの晩年を描く。 そういう意味ではギャング映画なのだが、ギャング映画版『恍惚の人』、認知症の介護映画ともいうべきもの。 長い服役後、カポネは梅毒のため認知症となっている家族や仲間、使用人たちも、この男がどこまで分かっているのか、疑心暗鬼。 もともと、ギャングの親玉で「怖い人」だから、周囲は忖度ばかりしている。認知症でいろいろなことが分からなくなっているのか、本当は分かっているのか、忖度しようがない。 FBIはカポネの認知症は仮病だと考えており、盗聴と監視を続けている。 カポネの妄想シーンでの、暴力性がすさまじく、この人物の闇がよく分かる。 しかし、最大のみどころは、トム・ハーディの認知症の演技だ。4時間をかけての特殊メイクもさることながら、認知症がだんだんにひどくなっていく過程の描写が見事。
21/2/24(水)