Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

ザ・スイッチ

抜群に面白い作品。細かいこと気にせず娯楽一直線で突き進む展開に、とことんまで楽しめた。 連続殺人鬼と女子高生の人格が入れ替わる。その設定から思い浮かぶであろう“面白そうな要素”を余すことなく盛り込み、それらを100分強の適度な時間内に完璧に収める。これぞ娯楽映画だ。 特筆すべきはヴィンス・ヴォーンの女子高生ぶり。見るからに厳ついオッサンなのに、途中から女子高生にしか思えなくなってくる。仕草や表情のひとつひとつが実に可愛らしいのだ。一緒に行動する同級生が思わずキスしたくなる気持ちも、なんだか共感できてしまう。 彼がキスしたくなるという展開、従来のコメディ映画なら「笑えるシチュエーション」として演出されていたかもしれない。が、本作はそうではない。真面目に、ロマンチックなシーンとして撮られているのだ。そこが素晴らしい。 「人は見た目ではない。中身だ」 この映画の根底には、そのメッセージがある。当たり前のことなのだが、実際には難しい。こと、映画となると。キスにまつわる顛末はそんなメッセージ性を象徴する描写になっていて、この映画が設定の面白さだけに留まらない訴えかけをしていることがよく分かる。

21/3/23(火)

アプリで読む