Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

話題作、アート系作品を中心に

恩田 泰子

映画記者(読売新聞)

リスペクト

ジェニファー・ハドソンの歌には魂を感じる。人面猫たちに仰天させられた映画版『キャッツ』でも、彼女が歌う『メモリー』にはじんと来た。いわんやアレサ・フランクリンの若き日々を演じた本作をや。 アレサはいかにして、歌手、そして公民権運動や女性解放運動の一翼を担う存在として人々のリスペクトを集め、「ソウルの女王」と呼ばれる存在になったのかを、『リスペクト』をはじめとする代表的ナンバーをパワフルに歌いながら演じている。そのパフォーマンスだけでも観る価値は十分。ただ、1960~1970年代のアレサの波瀾万丈を描ききるには、上映時間が短すぎたのかもしれない。時代の空気や女性としての葛藤の描写が大味なクリシェのようになってしまったのが残念でならない。 ただ、それでもジェニファー・ハドソンはいい。クライマックスで聴かせる「アメイジング・グレイス」は、彼女がアレサの葬儀でも歌ったナンバー。葬儀では若干線が細く感じられたが、本作では堂々たる歌いっぷり。予習もしくは復習に、アレサが1972年にロサンゼルスの教会で行った伝説的ライブのドキュメンタリー『アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン』や、本作とも重なる時代の物語『あの夜、マイアミで』も、ぜひ。

21/10/30(土)

アプリで読む