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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

白頭山大噴火

日本でいえば富士山のように神聖視されている中朝国境の白頭山で観測史上最大級の噴火が発生し、同時に大地震が朝鮮半島を襲うという災害パニック映画です。これだけでもハラハラドキドキさせられますが、さらなる大噴火があると学者(マ・ドンソク)が予測し、その噴火の威力を軽減させるため韓国軍の爆発物処理班の大尉(ハ・ジョンウ)らが北に潜入。核のありかを知り管理方法にも詳しい北朝鮮の工作員(イ・ビョンホン)を見つけ出すことには成功しますが、相互不信の厚い壁に阻まれ狙い通りには動いてくれません。大噴火までのタイムリミットは75時間。そこに家族愛や国への忠誠心、さらにミッションを通じて育まれた友情まで盛り込まれ、見ごたえは十分です。 たまったマグマを核爆発で“ガス抜き”させ地震の被害を抑えようという発想は分からないでもありませんが、よりにもよって北の核を奪って使うという手段を選ばせたのは、核実験を繰り返す北への当てつけなのか、それとも北の挑発に悩まされている国ならではの悲しい発想なのでしょうか。辛うじて核のバランスが保たれているかに見える現実世界の核戦略を垣間見るようで怖い話です。

21/8/21(土)

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