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「名画座かんぺ」発行人による極私的旧作邦画オススメ

のむみち

名画座かんぺ発行人

小早川家の秋

『小早川家の秋』12/29〜1/1 「早稲田松竹クラシックス vol.165 小津安二郎特集第1週(12/26〜1/1)で上映。 宝塚映画制作所の創立10周年記念作品として、また、前年の『秋日和』で原節子と司葉子を東宝が貸したことを受け、小津安二郎監督が松竹から東宝へ招聘されて撮った作品。「鴈治郎映画祭」開催の暁には、同年(’61)の『銀座っ子物語』と併せて間違いなく強力なコンテンツとなるであろう、中村鴈治郎の魅力爆発の一本です。中でも、外に遊びに行きたくて仕方がない鴈治郎が孫と家の中でかくれんぼをしながら見事に家を抜け出すシーンが最高。朝ドラ『おちょやん』で話題の浪花千栄子も『彼岸花』に続く小津作品で、本作でも見事な存在感を放っています。そして何より、東宝のオールスター総出演感! 中でも、小津が惚れ込んだのは新珠三千代だったようですが、確かに本作の新珠三千代はピカイチの上手さ。父親役の鴈治郎とのやりとりに惚れ惚れ。同年には『黒い画集 寒流』にも出演、「社長シリーズ」などでの助演が多かった東宝時代の新珠三千代の当たり年と言えるのではないしょうか。『秋日和』では母娘を演じた原節子と司葉子の息もピッタリで、川辺に二人佇むシーンが印象的。また、ラストの火葬場の煙突の煙が不穏で、東宝キャストの華と陰が同居した不思議な魅力のある作品となっています。なお、宝田明さんによると、小津監督は撮影期間中、おしなべてゴキゲンだったとか。

20/12/28(月)

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