おもしろい。よく出来ている。『あゝ、荒野』『新聞記者』など、現代社会に問いをなげかける話題作を次々と世に送り出し、独立系制作会社の旗手と目されるスターサンズが『新聞記者』で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した藤井道人監督が勢いのあるスタッフを集結させて作り上げた新作『ヤクザと家族 The Family』は、これぞ“満塁ホームラン”と言いたい久々の日本映画の快作だ。 「変わりゆく時代の中で排除されていく“ヤクザ”という存在を抗争という目線からではなく、家族の目線から描いた作品」と語る藤井監督は自ら脚本も手がけ、1999年、2005年、2019年という3つの時代にまたがるクロニクルとして描き上げたが、綾野剛と舘ひろしをはじめとする俳優陣の見事なアンサンブルと、藤井監督とは日大芸術学部の学生時代からの信頼関係があるという今村圭佑の撮影と、岩代太郎のよく練られた音楽がひとつになって第一級の作品に昇華されている。日本映画はなぁ～と思っている人たちにも絶対に観て欲しい映画だ。

21/1/24(日)