評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
映画評論家であり、落語評論家の顔も持つ
寺脇 研
映画運動家
満月の夜には思い出して
19/6/8(土)
池袋シネマ・ロサ
映画大学の数が増えた今、学生映画の中で昔ながらの映研(映画研究会)作品の割合は減っている。そんな中でこれは、中央大学映研の川北ゆめき監督が学内演劇サークルの協力を得て作り上げた力作である。 題材は、ズバリ映画作り。映研の3人が挑む作品製作過程を通して、登場人物ひとりひとりの物の考え方の違いが浮き上がってくる。映画にのめり込める者と、そうではない者……どちらが正しいわけでも間違っているわけでもないのに、ぎくしゃくしてしまう。そんな大学時代ならではの「恍惚と不安」を感じさせてくれるのだ。 大槻美奈の音楽と歌声が物語を彩る。また、形が残る映画に対し、その場で消える演劇は虚しいのか、との問いかけで演劇の意味を深く考えさせもする。
19/6/4(火)