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話題作、アート系作品を中心に

恩田 泰子

映画記者(読売新聞)

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

フィンランドのクラウス・ハロ監督による本作の主人公は、老いた美術商。首都ヘルシンキに長年店を構えてきたが、昔ながらのやり方では商売は立ち行かなくなってきた。そんな中、彼は近所のオークションハウスで作者不明の小さな肖像画に出会い、その絵で最後の大勝負がしたいと願う。どうやら近代ロシア美術の巨匠、イリヤ・レーピンの作のようだが、ならば、なぜ署名がないのか。 絵画をめぐるミステリーと、ひとりの男の人生の最終章の物語を絡み合わせた脚本が秀逸。長年疎遠だった娘、孫息子との関係の行方にも一喜一憂させられる。人間くさいけれどベタベタしないのがいい。作品を彩る絵画や、ヘルシンキの街並みも魅力的で、文字通り隅から隅まで楽しめる。

20/2/26(水)

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