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三鷹市芸術文化センターで、演劇・落語・映画・狂言公演の企画運営に従事しています

森元 隆樹

(公財)三鷹市スポーツと文化財団 副主幹/演劇企画員

佐藤佐吉賞Reborn『ガムガムファイター』【配信あり】

私事で恐縮だが、三鷹市芸術文化センターに演劇企画員として従事している現在の業務の中心のひとつに『劇団公演や演劇プロデュース公演を三鷹市芸術文化センターという公立ホールで上演する』という仕事がある。それを踏まえて、以前、このコラムで、私はこのように書かせていただいた。 <<<>>> 大学卒業間際の頃から、ほんの少し触るように自分でも劇団を主宰して作・演出を務めたりしていた私は、やがて現在の『劇団公演や演劇プロデュース公演を公立ホールで上演する』という仕事に従事するようになり、勤務時間以外の空いた時間を使って年間100本~150本くらいの舞台を拝見する中で、良い作品だなと感じた劇団やアーチストに、お声を掛け続けてきた。もちろん、大きな劇場での公演も数多く観てきたが、割と若い劇団の公演に足を運ぶことも多く、そのほとんどは、「ザ・スズナリ」「駅前劇場」「OFF・OFFシアター」といった下北沢の劇場であったり、「花まる学習会王子小劇場」「こまばアゴラ劇場」「シアターグリーン」「サンモールスタジオ」「中野ザ・ポケット」「シアター風姿花伝」「新宿シアター・ミラクル」を始めとした数多くの民間の劇場であった。これら民間の劇場で旗揚げし、脚本・演出・演技力を研ぎ澄ませながら公演を積み重ね、力を付けていく劇団の数々を、何かのきっかけで私は拝見し、数多くの劇団に三鷹での公演をお願いしてきた。昨今評判の劇団や作・演出家も、もちろん最初から大人気だった訳ではない。初めのうちはどちらかの劇場で、大志を胸に秘めながら公演を打ち続け、やがてその実力が認められ、注目を浴びるようになっていったのである。数多くの民間の劇場が、ゆりかごのように、今後が期待される劇団を、温かく見つめ続けてきたからこその、今現在の日本の演劇シーンの土壌である。公立ホールに従事する者として、民間の劇場へのリスペクトは決して忘れることはない。 <<<>>> そして、そのリスペクトの上位に位置する民間劇場のひとつが「花まる学習会王子小劇場」であることは間違いなく、その先見性や、全国の若手劇団を応援する姿勢に心から敬意を表するとともに、観劇した際に素晴らしい舞台を拝見し「ぜひ三鷹で」と、声を掛けさせていただいた劇団は、ひとつや二つではない。 その「花まる学習会王子小劇場」が、演劇界の今後を見据え、新しい企画を立ち上げる。  《佐藤佐吉賞Reborn》 企画趣意として記されているのは「これまで「佐藤佐吉賞」を受賞した作品の中から、新たな形での上演を観てみたいと願う脚本を選出し、これからの日本の演劇シーンを背負って立つであろう才能ある若手演出家の手によって新たな演劇作品として立ち上げる企画。」 その第一回となる今回は、熊本を本拠地とする「劇団きらら」によって2015年11月に熊本で初演され、その後福岡、そして東京(王子小劇場)でも公演され、王子小劇場佐藤佐吉賞において優秀作品賞、優秀脚本賞(池田美樹)、優秀主役男優賞(有門正太郎(飛ぶ劇場))、優秀助演男優賞(寺川 長(大帝ポペ))を受賞した『ガムガムファイター』を上演。演出には、シアターグリーン学生芸術祭Vol.12最優秀劇団賞や、おうさか学生演劇祭Vol.12優秀演出賞を受賞するなど、今後が期待される劇団「露と枕」の井上瑠菜を起用。 この新たな試みが、演劇界の今後にとって、大いなる第一歩となることを願い、客席で見届けたい。 ※佐藤佐吉賞 花まる学習会王子小劇場で年間上演されたすべての公演を対象に、優れた作品・戯曲・演出・舞台美術・照明・音響・衣装・宣伝美術・主演男優/女優・助演男優/女優の各部門を表彰する賞。

21/7/23(金)

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