Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

インディーロックや、その周辺のカルチャーを紹介

黒田 隆憲

音楽ジャーナリスト、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン研究家

ロケットマン

「史上最も売れたアーティスト」のひとりとして、今も君臨し続けるシンガー・ソングライター、エルトン・ジョン。本作は、彼の波乱万丈な半生を描いた映画である。父親の愛情に恵まれない幼少期を過ごしたエルトンは、ピアノと出会い才能を開花させ、作詞家バーニー・トーピンとの出会いによって次々とヒットソングを生み出していく。しかし、過度のドラッグやアルコール依存により更生施設での生活を余儀なくされるなど、栄光と挫折を繰り返してきた。そんなライフストーリーを、史実に基づいたドキュメンタリー方式ではなく、虚構をも織り交ぜたミュージカル仕立ての作品に仕上げたことによって、エルトン自身の姿をより鮮明に浮き彫りにしている。 ド派手な衣装に身を包みながらも、常に孤独と戦い続けてきたエルトンを演じるのは、『キングスマン』シリーズやミュージカルアニメ映画『SING/シング』などで一躍脚光を浴びたタロン・エジャトン。本作で、自ら製作総指揮を務めたエルトン・ジョン本人から「僕を演じられるのは彼しかいない」とお墨付きをもらうだけあって、その歌唱力は圧巻。中でも白眉のシーンは、名曲『Your Song』が生まれるところ。自宅リビングのピアノをつまびきながら、徐々にメロディのカケラを紡ぎ上げていく様子は鳥肌ものだ。タロンの表現力と歌唱力は言うに及ばず、ジョージ・マーティンの息子であり、これまでビートルズの膨大なデモテープ(名曲のカケラ)と向き合ってきたジャイルズ・マーティンが音楽監督を務めているだけある。

19/8/19(月)

アプリで読む