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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる

村山 匡一郎

映画評論家、大学講師

酔いどれ東京ダンスミュージック

音楽ジャンルは、映画以上に、インディーズの占める割合が大きい。“真黒毛ぼっくす”もそんなミュージックバンドのひとつ。主宰する大槻泰永は、30余年前に上京してバンドを結成、以後、サラリーマンをしながら活動を続けているという。そんな大槻と偶然知り合った東京芸術大学の女子学生が彼の活動と生活をカメラで追ったドキュメンタリーだ。“真黒毛ぼっくす”の代表曲に『酔いどれ東京ダンスミュージック』があるように、大槻はいつも酒を手にし、ライブでもそれは変わらない。2016年の初夏から年末にかけての大槻のライブや生活を追いながら、監督本人の柔らかいモノローグ調の語りが重ねられるが、被写体との適度な距離が好ましく、撮る側の心情が塗り込められたような印象が漂う世界である。

21/9/11(土)

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