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水先案内人のおすすめ

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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

ヤクザと家族 The Family

藤井道人監督作品の中で一番好きだったのが『青の帰り道』。理由は群像劇が得意なのが分かる脚本力と演出力を感じたからで、登場人それぞれの心の機微を丁寧にすくい上げ、物語が多角的に見えたから。その手腕がさらに輝きを増し、『仁義なき戦い』のような往年のヤクザ映画への敬意を表しながら、自分のセンスを信じ、大切にしている妻や子供への思いを散りばめた映画を生み出したのです。 ファーストカットから綾野剛の代表作になると予感。荒ぶれ、不満を身体中に押し込み、膨らんだ怒りを撒き散らしながら街をさまよう青年が出会った世界は、亡くなった父親が身を投じた世界。人生とは居場所探しの旅であり、安心して心を開ける人との出会いが才能を開花するという考えを、血の繋がりではない環境に置き換え、真実の愛を取りにいく脚本は秀逸。 さらに素晴らしいのは、任侠=男のドラマ、と思われがちなテーマに、彼らを取り巻く女性たちへの影響と複雑な思いを絡めたところ。 反社会に関わることで、それぞれにどんな運命が待ち受けているのかも目を逸らさずに描いた群像劇は、感情が蠢く大海原に飛び込んだ感覚のようなものでした。

21/1/27(水)

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