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水先案内人のおすすめ

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この映画を観ると世界がわかるという作品を

池上 彰

1950年生まれ ジャーナリスト、名城大学教授

赤い闇 スターリンの冷たい大地で

いまでこそソ連時代のスターリンがいかに冷酷な独裁者であったかは知れ渡っていますが、この映画の舞台となった1930年代は、そうではありませんでした。 イギリスもアメリカも世界恐慌に苦しみ、経済はどん底でしたが、社会主義国のソ連は経済が急速に発展し、豊かさを享受している……と伝えられていました。『ニューヨーク・タイムズ』モスクワ支局長は、ソ連の発展とスターリンの指導力を評価する記事を送り続けていたのです。 しかし、映画の主人公であるガレス・ジョーンズは、ソ連の公式発表を疑い、ソ連への取材に入ります。そこで見たものは、ウクライナの恐るべき飢餓の蔓延でした。 スターリン式農業改革は大失敗し、飢えが広がっていたにもかかわらず、ソ連政府は、ウクライナの人々から穀物を取り上げ、輸出に回して外貨を稼いでいたのです。 独裁国家で取材活動をする記者は、どのような態度を取るべきか。映画が提起する問題は、現在にもつながってくるのです。

20/8/10(月)

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