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水先案内人のおすすめ

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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

ビバリウム

雛が雛を落とす、親鳥からの餌を独り占めするためなのか? そんな映像から、「自然はそういうものなの」という言葉で物語は始まる。動物の“育てる”という本能を利用したSFスリラーは奇想天外で、行き止まりになりそうなところで次の仕掛けがやってくるというギリギリを攻めた監督の発想勝ち! ジェシー・アイゼンバーグとイモージェン・プーツ扮するカップルが追い詰められる姿を目の当たりにしながら限界突破の感情を自分たちも疑似体験することになってしまう。 この状況に陥ったら自分はどんな行動に出るのかと考えるだけで恐ろしい。 彼らが足を踏み入れる新興住宅地ヨンダーの看板には、「家族が満足する安住の地」と書かれているのも興味深い。 統一された色で同じ形の建物が並ぶこの地は、誰もが満足する“もの”が揃ったところなのかもしれない。結婚すること、家を持つこと、家族を持つこと、それらは多くの人が望む小さな“幸せ”で、言い換えればそこは願い通りの地。 何不自由ない生活に不自由さを感じるのはなぜなのか? そこはきっとこだわり抜かれた冷たい色合いの美術や、統一された景色にも不安を感じる要素が詰まっているからだろう。 ゾッとしたわ。

21/3/1(月)

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