ノスタルジックな雰囲気と性の生々しさの雰囲気が合わさった匂い。爽やかさとジメジメした感情がないまぜになった見事な青春映画。 出稼ぎで父が不在の主人公一家。主人公の少年は母が大好きだが、彼女はどうしようもないほどに母であるまえに女だった。女の色気を息子の前でも隠そうとせず、毎晩着飾っては少年を置いてどこかに出かけていく。 更に、少年は近所の少女に惹かれ、ふたりの女に翻弄されながら父の帰りを待ち焦がれている。父が帰ってきても一悶着あり、少年の激動の夏休みは閉じてゆく。思春期の心の揺らぎを的確に描いた秀作だ。最近、ポーランドは優秀な若手監督は多いが、本作のアダム・グジンスキ監督も今後が楽しみな逸材だ。

19/5/29(水)