Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ

映画で「街」は重要な要素となる。『東京物語』がそうだし、ニューヨークでは『グロリア』や『ティファニーで朝食を』など多くの名作が生まれている。 本作も題名からわかるように街が大切な意味を持つ。『めまい』や『ダーティハリー』などハリウッド映画のロケ地として有名なサンフランシスコが舞台だ。 ジミー(ジミー・フェイルズ)は生まれ育ったサンフランシスコが大好きな青年だ。坂が多く海に面した風光明媚なこの街を味わうかのように、スケボーで移動する日々。ある日、家族がかつて暮らしたという優雅なヴィクトリアン様式の家屋を今の家主が手放すことになった。「祖父が建てた」と信じて愛し続けてきたジミーは空き家状態になったその家に、親友のモント(ジョナサン・メジャース)の助けを得て家具を運び込むが……。 ジミーやモントら黒人の社会を背景に、自身のルーツといえる「街」と「家」に対する深い愛情を描いた独特なストーリー展開が魅力だ。変わりゆく大都会の中で、変わらないもの=家に執着するジミーの純粋な心情が浮かび上がる。ゴールデンゲートブリッジ、坂道のケーブルカー、そしてスケボーで駆け降りる姿を一度にとらえたロングショットが美しい。

20/10/7(水)

アプリで読む