いま最も熱い映画製作会社A24の作品。1990年代のアメリカを舞台に、16ミリフィルムで撮影された粗い画面と懐かしい音楽の数々が、とても愛おしい。13歳の少年がスケボーショップで年上の仲間を見つけ、カッコいい彼らが自在に操るスケボーにはまっていくという物語。彼らはきれいにスラロームを描きながらスイスイとスケボーを駆り、それはまるで彼ら自身の人生の瞬間のように見える。ときどき転倒し、着地に失敗し、それでも前に進んでいく。それは決して成長とか進歩とかではなく、ただこの空気に身を任せて漂っているようにも思える。アメリカンドリームが終焉した彼の国のいまの人々の心情を映し出したような作品。熱っぽさと、でも向こう側には透けてみえる諦念のようなものが何とも悲しくやりきれなく、そして同時に美しい。

20/9/1(火)