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水先案内人のおすすめ

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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K完全無修正版

前回のリバイバル上映が1995年というから、こちらは高校3年生の時だ。 「渋谷系」と言われるサブカルチャー界隈を中心にかなりの話題になり、その後もしばらく「オシャレ好きな映画ファン」の間でカリスマ的な人気になっていた記憶がある。 で、そういう人たちを好ましく思ってこなかった身としては、あまり表でこの作品は語らないできた。 が、実は大好きな作品だったりもする。この70年代ならではの退廃的な気だるさが心象的にフィットしたのだ。 冒頭のゴミ捨て場に始まり、虚無的なまでにスペクタクルで乾いた田舎の光景。ポツンとたたずむドライブインの寂れ具合。そこに働くジェーン・バーキンの、透明感と妖艶さを併せもった澄んだ瞳……。どこまでも続いていそうな広野を舞台にした、ひとつひとつのカット全てが魅惑的で虜になった。 今回の上映ではより鮮やかな映像として蘇ったことで、その世界の魅力はより増している。オシャレ好きな方も、そうでない方も、是非とも浸っていただきたい。

21/6/9(水)

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