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水先案内人のおすすめ

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話題作、アート系作品を中心に

恩田 泰子

映画記者(読売新聞)

ソワレ

村上虹郎演じる役者志望の青年が罪をおかすシーンから映画は始まる。汚れてしまった悲しみを抱きつつ、彼は仲間とともに故郷の町の高齢者施設に演劇指導に出かけていく。そこで働いているのが、芋生悠が演じるヒロイン。彼女が置かれた絶望的な状況を見かねた青年は、その手をひいて走り出す。 いつの間にか出口を見失ってしまった若い男女の逃避行。せりふをそぎ落として風景や役者のからだに語らせる潔い表現がひりひりと心にしみる。 暗い夜に光をともす「舞台」の情景は、演劇や映画に人が求めているものそのもの。ああ、これはまぎれもなく私たちが生きている世界をめぐる物語なのだと思わせられる。 日常の音の豊かさにも特筆すべきものがある。ぜひ映画館で味わってほしい。

20/8/24(月)

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