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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

きっと、またあえる

何の予備知識もなく観た『ダンガル きっと、つよくなる』の面白さと感動は、2年経った今でも忘れられない。 インド映画といえば、『ムトゥ 踊るマハラジャ』以降、歌と踊りが必須アイテム。しかし『ダンガル』は、それがなかった。“歌わない・踊らない”インド映画なのに、そこに描かれた〈親と子の絆の強さ〉〈信念へのこだわりの崇高さ〉は圧巻だった。 監督はニテーシュ・ティワーリー。だからその彼の新作『きっと、またあえる』が面白くないはずはない、という思い込みは裏切られなかった。 今作では、彼自身の大学時代のエピソードなども盛り込みながら、1990年代インドの工科大学の学生寮を舞台に、主人公と仲間たちの友情を描いている。 『ダンガル』での〈親子の強い絆〉というテーマは今作でも健在。学生から人の親となった中年世代の〈友情〉が新たに織り込まれ、作品世界をより豊かにしている。 エリートサラリーマンであるアニの息子が大学受験に失敗、将来を悲観してマンションのテラスから飛び降りて病院に担ぎ込まれる。病室に今は親世代となった学生時代の悪友たちが集まり、アニの息子を励ますため学生時代の奮闘記を語り始める。 1990年代、インドでもトップクラスのボンベイ工科大学に入学したアニだったが、学生寮は負け犬ばかりが集まるボロボロの4号寮に振り分けられる。アニと4号寮の仲間たちは、寮対抗の競技会で「負け犬寮」の汚名を返上すべく、知恵とやる気と団結力でさまざまな競技を勝ち抜いていくのだが……。 主人公たちが大学生活を送った1990年代と、親世代になった現代のふたつのストーリーが展開する。脚本も手掛けたティワーリー監督は、「これは僕自身の大学生活の物語だ。だから、他の誰にも作ることはできないんだ」と述べている。 主人公アニ役に『PK』のスシャント・シン・ラージプート、ヒロインとなるマヤ役に『サーホー』のシュラッダー・カプール。インド映画界には次々と新たな才能が生まれている、と感じられる新作だ。

20/8/17(月)

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