箱根にあるポーラ美術館のコレクションより、印象派からエコール・ド・パリの時代に芸術の都フランス、パリで多くの作品を残したフランス絵画の巨匠28名による夢の競演。ざっと出品作家の名前を挙げただけでも、そうそうたるメンバーでクラクラします。 コロー、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、セザンヌ、ゴーガン、ゴッホ、シニャック、ボナール、マティス、デュフィ、ブラック、レジェ、ピカソ、ユトリロ、モディリアーニ、スーティン、パスキン、キスリング、シャガール ほか しかも名前だけでなく、作品自体も良いものばかり。日本国内屈指のレベルの高い作品を所蔵しているポーラ美術館だからこそ可能な展覧会です。絵画と併せ要所要所で、当時のパリジェンヌたちが愛用したアール・ヌーヴォーとアール・デコの化粧道具も展示されており、渋谷で19世紀末から20世紀にかけて花開いたパリでの視覚芸術を体感できます。 これから西洋絵画を学びたい社会人や学生さんにとって「質の高い教科書」としてうってつけです。一方で美術ファンにとってもピエール・ラプラードのような日本国内で滅多にお目にかかれない画家の作品も出品されており、見逃せない展覧会となっています。時代ごとの流れに沿った4章からなる構成に加え、「時代を映す、輝く女性像」「画家たちが愛したパリ」「ランス各地への旅」という3つのテーマに沿って展開されています。 コレクションをただ時系列に並べたのでは決してなく、質の高い近代フランス絵画コレクションを、優れたキュレーションにより魅せてくれる。コロナ禍で疲れた心に潤いを与え、沈んでいた気持ちを立ち直らせてくれる展覧会です。

21/10/8(金)