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水先案内人のおすすめ

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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

ブリット=マリーの幸せなひとりだち

20年以上も前だが、映画の舞台となったスウェーデンには一度取材で訪れたことがある。税金が高いことや女性の社会進出が顕著な事情から、多くの家庭が共働きだと聞いた。そんなお国柄で少数派といえる一人の専業主婦の自立を描いた感動作だ。 63歳のブリット=マリーは結婚後、子供もなく、40年間にわたって家事を完璧にこなして夫の帰りを待つ単調な日々を送っていた。しかしある日、夫の浮気が発覚。家を出て見つけた仕事は、地方のユースセンター(子供の交流施設)の管理人兼子供サッカーチームのコーチだった……。 映画の楽しみ方は人それぞれだが、やはりキャラクターが魅力的だと、何度も観返したくなる。ブリット=マリーは家庭では常に硬い表情だったが、子供たちやサッカーを通じた地域の人たちとの交流で笑顔を取り戻していく。演じたペルニラ・アウグストは1992年のカンヌ国際映画祭で女優賞に輝いたスウェーデンの国民的女優。観客は、彼女の繊細な表情の変化を見つめるだけで、幸せな気持ちになれるだろう。“ネタバレ”につながるので詳細は避けるが、一番の見所はキスシーン。逆光でとらえた描写が美しい。そして“一歩を踏み出す勇気”が実感できる。

20/7/13(月)

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