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水先案内人のおすすめ

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音楽は生活の一部、映画もドキュメンタリー中心に結構観ています

佐々木 俊尚

1961年生まれ フリージャーナリスト

茜色に焼かれる

144分と長尺だが、長さをまったく感じさせない空前絶後の傑作。シングルマザー、上級国民、新型コロナ、子宮頸がんなど現代の社会問題をてんこ盛りにしている…と書くと散漫な感情ポルノ映画かなにかのように感じるかもしれないが、それらの要素がなんら違和感なく紡がれていて、骨太なストーリーにすべてが結実されている。 主演の尾野真千子はマグダラのマリアのように罪深さと神々しさを兼ね備え、その演技は圧巻。生活苦から闇に落ちそうになりながらも、かろうじて淡い光りの中にとどまり続ける。タイトルの『茜色に焼かれる』はまさに、夜の闇に閉ざされる直前の夕焼けにかろうじて踏みとどまろうとする、そういう人びとの物語であることを象徴している。

21/5/1(土)

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