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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

ハッピー・オールド・イヤー

狭い家に物があふれる2020年の師走。断捨離を考える人もいるでしょう。でもやり過ぎると家族や友人の心を傷つけ思わぬトラブルに巻き込まれるかも。そんなことを考えさせる作品です。 本作は今年(20年)の大阪アジアン映画祭でグランプリに輝いたタイのナワポン・タムロンラタナリット監督作品。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』でカンニングに挑むクールなヒロインを演じたチュティモン・ジョンジャルーンスックジンが、今度は物があふれる自宅をリニューアルするため断捨離を強行するお話です。部屋はどんどん片付いていきますが、友人からプレゼントされた物まで捨て、さらに元カレとの関係も一方的に清算すると……。物には思い出が詰まっていて、ましてや人の感情はおろそかには扱えないことを思い知らされます。 誰にでも身に覚えのあるエピソードが次々に紹介され共感すること請け合いです。考えてみるとコロナ禍の2020年にこそ相応しい作品かも? 旅行や会合自粛で浮いた時間を断捨離にあて、思い出が呼び起こされる物を通じて1年間を振り返ることができます。それで飽き足らなければ思いを年賀状にしたためても良いかもしれません。 ちょっと早いですが ハッピー・ニュー・イヤー。

20/12/9(水)

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