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樋口 尚文
1962年生まれ 映画監督、映画評論家
キネマ旬報創刊100年記念 キネ旬ベストワンからたどる昭和・戦後映画史
19/7/7(日)~19/7/17(水)
新文芸坐
『白い巨塔』(7/15) 新文芸坐 特集「キネマ旬報創刊100年記念キネ旬ベストワンからたどる昭和・戦後映画史」(7/7〜17)で上映 このたびもスペシャルドラマとして蘇った『白い巨塔』だが、ドラマ化のたびに参考にされているのは1978年のフジテレビ版であろう。というのも、1966年の山本薩夫監督、田宮二郎主演の大映映画版は絶賛を浴びた傑作なれど、実は医療ミスをめぐる財前の挫折や凄絶な死について書かれたのはこの映画原作に次いで書かれた続篇のほうの話だからである。したがって、原作の正続篇の全貌が堂々描破されたのは1978年のフジテレビの連続ドラマ版であって、放映中の田宮二郎の衝撃的な自殺もこのシリーズの印象を強烈なものにした。とはいえ、1966年の映画版は『白い巨塔』映像化の原点であり、橋本忍の鋭角的な脚色もビターな山本演出ものりにのっていて必見である。
19/7/11(木)