亜熱帯の花鳥や風土を、独特の視線で描き続けた日本画家、田中一村。彼は50歳を過ぎてから単身奄美大島に移住し、その独自の世界を切り開いたことで南国の画家のイメージがあるけれど、移住前には千葉県千葉市に20年ほど暮らしていたことはあまり知られていない。それゆえ、千葉市美術館では2010年に大規模な田中一村の回顧展を開催し、現在までに田中一村の100点を超える作品や資料の寄贈や寄託を受けているそう。この展覧会は、それらの千葉市美術館の所蔵する作品や資料をまるっと公開する展覧会。年代順にじっくり見ていると、千葉市時代の作品群があるからこそ、奄美時代のじっとりとした密な雰囲気ができあがったんだなと実感。奄美時代の代表作のひとつ《アダンの海辺》は必見です。

21/1/10(日)