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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
Style Wars〈デジタル修復版〉
21/3/26(金)
WHITE CINE QUINTO
40年近く前のドキュメンタリーである。1981年から翌年にかけてニューヨークの下町や地下鉄などが落書きで埋め尽くされ、一時は社会問題となったのは、ニュース番組などで見た記憶がある。その街頭の落書きは当時、「グラフィティ」や「ボミング」と呼ばれ、若者たちの“アート”としてあった。そんな若者による街頭のグラフィック・アートを追ったものだが、今観ると、当時のヒップホップ音楽やブレイク・ダンスの流行と三位一体となった若者文化の記録として時代の雰囲気を伝える貴重な資料となっている。深夜に地下鉄の車庫に入り込む若者たちと行政側の取締りの攻防戦や、有名になったグループと新たに生まれたグループとの緊張関係など、若者たちの生き生きとした姿がとらえられていて面白い。
21/3/21(日)