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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

吉例顔見世大歌舞伎

今月の歌舞伎座の夜の部『鬼一法眼三略巻』の『菊畑』で、一つの襲名が披露される。中村梅玉の部屋子である中村梅丸が、このたび中村莟玉(かんぎょく)と名を改める。 梅丸は現在23歳、一般の家庭に生まれたが、幼いころに歌舞伎を観て歌舞伎にはまり、両親に頼み込んで中村梅玉の門をたたいたという。2005年に初舞台を踏み梅玉の部屋子に、そして今回、梅玉の養子として迎えられる。 梅玉といえば歌舞伎界の貴公子! 颯爽とした捌き役や、若々しい前髪ものの役々が思い浮かぶ。梅丸は目下女方の役が多いが、いずれは師匠と同じく二枚目の立役も目指しているとも。今回つとめる『菊畑』の奴虎蔵実は源牛若丸といえば、梅玉の当たり役の一つであり、高砂屋にとっても大事な役。師匠であり養父の梅玉を追うように、このたび初めて挑戦する。 大歌舞伎や若手の一座、新作歌舞伎や新春浅草歌舞伎への出演も増えて、最近は師匠を離れての出演も多い。以前、ある演目の赤姫の役のときに、取材でこんなことを言っていたのを思い出す。 「高砂屋のお姫様の魅力といえば、それはこせこせしていない大成駒のお姫様をイメージします。それが目標です。師匠と別の一座の時は、自分が高砂屋を背負うことになります。高砂屋さんの人なのだなと思ってもらいたいし、逆にとても責任を感じます」と頼もしい言葉だった。 ちなみに「莟玉」は、梅玉の養父の六代目中村歌右衛門が自主公演などを「莟会(つぼみかい)」の名で開いていたことに由来する名前。 「新春浅草歌舞伎で梅丸を見て歌舞伎にはまった」という女性ファンの声も少なからず聞く。時分の花の愛らしさに凛々しさも加わった新・莟玉。莟の文字に、今この人ほどふさわしい役者はいないだろう。

19/10/26(土)

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