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水先案内人のおすすめ

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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

ビバリウム

摩訶不思議な作品だった。 若い夫婦が家を買うことになり、不動産業者によって郊外の新興住宅地へ連れていかれる。 全く同じデザインの一軒家がどこまでも立ち並ぶ、無機質な町並。業者も含めて怪しく思った夫婦は立ち去ろうとする。が、どうしても元の家に戻ってしまう。 途方に暮れる夫婦の前にひとつの段ボール。中には赤ん坊。箱の蓋には「育てれば解放される」と。 “何か”が起きるわけではない。抜けられない日常の中、疲弊していく夫婦の様がひたすらに描かれる。それでも全く飽きずに引き込まれる。 冷たく重い映像と、怪電波のような音楽がふたりの抜けられない絶望を増幅。余すことなくミステリアスで埋め尽くされる。 かなりメタファーな映画ではあるのだが、それよりもこの謎めいた地獄の映像に浸ってみた方が楽しいのではないだろうか。

21/3/12(金)

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