予想はまんまと裏切られた。前作のラストがあの形だったので、今回は当然その続きを描くと思っていたのに、前作の製作、脚本のロド・サヤゲスが監督も兼務した本作ではその定石の展開をあっさり切り捨てていたからビックリ！　しかもその代わりに、世界一強いあの盲目の老人ノーマン（スティーヴン・ラング）が、ひとりの少女を大切に育てているという思いがけない設定をいきなりぶっ込んできたからまたもやビックリ！ だが、それは今回の物語の世界と設定を構築する導入部に過ぎなくて、ノーマンと、彼が少女と暮す屋敷に忍び込む謎の武装集団の攻防戦の巧妙な罠と伏線になっているところが心憎い。ノーマンの鬼の指導で高度なサバイバル術をどんどんマスターしていく、少女フェニックスを全身で体現した撮影時11歳のマデリン・グレースの迫真にも息をのむ。 狙いすましたようなオチも深く、斬れ味も抜群だ。ラストカットをどう解釈するかで意見が分かれるが、個人的にはさらになる続編を期待！

21/8/19(木)