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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。
春日 太一
映画史・時代劇研究家
ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を
20/1/18(土)
K's cinema
映画に求める要素のひとつにあるのが、センス・オブ・ワンダー。未知なる何かと出会う驚きと感動だ。 この作品は、そんなセンス・オブ・ワンダーに満ち満ちている。舞台がアゼルバイジャンの田舎という段階で既にそうだし、全編セリフ全くなしで展開していくのもそう。 一枚の青いブラジャーを拾った初老の男がその持ち主を探して歩き回る……という物語もそうなのだが、何より、その物語がなかなか動き出さないことに驚かされる。 前半は孤独な主人公の冴えない日常のみで構成されており、劇的な出来事は何も起きない。にもかかわらず、全く飽きることなく観入ってしまった。 それこそ最大のセンス・オブ・ワンダー。不思議な魅力にあふれている。
20/1/13(月)