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水先案内人のおすすめ

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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

ウォーデン 消えた死刑囚

ワンカット目からたまらなく美しく、心わしづかみにされた。 降りしきる雨、薄暗い壁に囲まれた処刑台、その周りで作業をする無数の黒いシルエット……何か不穏なことが始まる予感に満ちた、抜群のオープニングだ。 舞台は解体が迫るイランの刑務所。新たな建物に移設することになり、囚人たちの護送が始まる。だが、そのうちのひとりがいつの間にか、いなくなっていた。物語は所長による捜索を軸に展開されていく。 とにかく、何から何まで面白い。 全く先の読めない展開。人がいない刑務所の無機的な不気味さ。迫りくる解体へのタイムリミット。スピーディーでサスペンスフルな演出。 しかもラブストーリーの要素まで挟まれている上に、囚人の背景が明らかになるにつれて訴えかけてくるテーマは重い。 それが90分という時間の中に見事に凝縮されきっている。名作だ。

21/1/15(金)

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