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ホラー、ミステリー、トンデモ映画が大好物
春錵 かつら
映画ライタ―
ストレイ 悲しみの化身
20/2/7(金)
ヒューマントラストシネマ渋谷
その存在は、愛する者に似た“なにか”。 本作は、最愛の息子を失った悲しみから立ち直ろうとする夫婦が、ある子どもを保護したことにより、恐怖に巻き込まれるロシア発のホラー。早くも各国でリメイク権が押さえられている。 このラインのホラーとしては、どうしても母性を主軸に物語が展開することが多いが、本作は少し趣が異なって、どちらかというと父性の方が寛大な印象だ。実際に10ヵ月体内で共に過ごし産む母と、10ヵ月遅れで対面する父とでは、愛情の発露はどうしても時間差は出てくるだろう。この微妙なタイミングのずれが本作には描かれているように思う。 つけいる方は巧妙に、その隙間を見つける。喪失感を満たす存在に代替は利かないのだ。その苦しみを乗り越えない限り、その欠失には“ニセモノ”の安らぎがほんのいっとき、入り込む。
20/2/5(水)