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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

キーパー ある兵士の奇跡

まず、サッカー映画として楽しめる。スポーツはいいなぁと思う。 一方で、戦争は普通の人々のなかに差別と分断を生むことを考えさせられる。 多面的であることが「いい映画」の条件のひとつとしたら、これはとても「いい映画」だ。 サッカーが好きで観た人は戦争と差別を考えると、差別問題に関心のある人が観ればサッカーの素晴らしさを知る。 第2次世界大戦で、イギリスは勝った側だが、ドイツ軍によって殺されたイギリス人は多いため(もちろん、その逆も)、家族や友人・知人がドイツに殺された人たちは、ドイツ人というたけで、憎んでしまう。 とくにユダヤ人は、戦争のみならずホロコーストでひどい目にあっている。ドイツを赦せない気持ちを抱き、ドイツ人への拒否感があるのは、理解できる。しかし、それだと「負の連鎖」は終わらない。 どうしたらいいのか――その回答のひとつが、この映画にはある。 この映画の舞台である1950年代、60年代から半世紀以上が過ぎ、民族・人種・国籍の差別がなくなっていないどころか、分断が深まっている現実を、どうしても考えてしまう。

20/10/23(金)

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