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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

ブレスレス

タイトルから、ゴダールの『勝手にしやがれ』、リチャード・ギア主演の『ブレスレス』、浜田省吾の『BREATHLESS LOVE』などいろいろなイメージが交錯する。しかし、こんなにもハードなSMシーンが繰りかえされる内容だとは予想外。確かに「息もつけないほど」の激しい映画だ。 外科医師のユハの妻は休暇中の湖で水死してしまう。以来、妻を救えなかったという自責の念から毎日を無気力で死んだように過ごしていたユハはある日、偶然からSMクラブに迷い込んでしまう。そこには、ボンデージ衣裳に身を包んだドミナトリクス(女性支配者)のモナがいた。客と間違えられたユハは、そこで思いもかけない体験をする。首を締め付けられ苦しい息遣いの中で現れた映像は、妻の死の直前の湖の中だった。僅かながらも生きる糧を見つけたユハは、その日を境にモナの元に通いはじめる。 主演の外科医ユハにはフィンランドを代表するペッカ・ストラング。SMクラブで働くモナにはクリスタ・コソネン。監督は、前作『2人だけの世界』(2014年)がヴェネチア国際映画祭、トロント国際映画祭ほか世界40カ国の映画祭で上映、さらにフィンランドのアカデミー賞であるユッシ賞で7部門にノミネートされ、作品賞と監督賞を含む4部門で受賞を果たしたユッカペッカ・ヴァルケアパー(1977年フィンランド生まれ)。本作も2020年ユッシ賞で9部門にノミネート、主演男優賞ほか6部門で受賞している。 そういえば我が国にも、愛人から首を絞めてほしいと懇願された果てに絞殺してしまう流行作家が主人公の『愛の流刑地』という映画があった。もう一度見直して本作との違いを考察してみよう。

20/12/8(火)

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