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植草 信和
1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)
追悼企画 市原悦子と樹木希林 「個性派」と呼ばれたふたりの女優
19/6/8(土)~19/7/5(金)
神保町シアター
『夢千代日記』(6/15〜6/21) 神保町シアター 追悼企画「市原悦子と樹木希林 「個性派」と呼ばれたふたりの女優」(6/8~7/5)で上映。 『キューポラのある街』のジュンと『夢千代日記』の夢千代が、吉永小百合という女優イメージの源泉で、両作共の監督は浦山桐郎。後者はテレビから生まれたキャラクターだが、映画化に際して吉永は次のように語っている。 「シリーズを終えるなら映画で、という思いはありました。幕を下ろすためには、結局、夢千代が死ぬという設定しかない。二度と演じることができない役を、思い残すことがないほど演じきろうと挑みました」。 だが、夢千代の死に際のセリフ『ピカが怖い』(彼女は体内被曝した芸者)をめぐって、吉永と恩師である浦山桐郎監督は対立した。「浦山さんは『ピカが憎い』と変えようとしましたが、でも、私は夢千代は『ピカが怖い』とは言うけれど、『憎い』とは言えません」と反撥。 それがどう決着したかは映画を観ていただきたいが、共演者としてずっと傍にいた樹木希林はそんな吉永について、「たった一言のセリフにこだわる小百合さんのことを私は認めた」と語っている。遺著の数々がベストセラーになっている樹木希林の演技も見どころのひとつだ。
19/6/8(土)