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水先案内人のおすすめ

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平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

心の傷を癒すということ《劇場版》

最近、柄本佑のイケメン度が増している。女性ファンも増え、ドラマに映画に出演作が目白押しだ。TBSドラマ『天国と地獄〜サイコな2人』では綾瀬はるかの元恋人役、昨年公開の映画『Red』のヒロイン(夏帆)を見守るクールな同僚ぶりも男前だった。 そんな柄本がジャズピアノはプロ級の腕前、レコードと読書をこよなく愛する精神科医を演じた。阪神淡路大震災で、被災者の心のケアに当たった医師・安克昌さんの『心の傷を癒やすということ 神戸…365日』を原案にしたドラマ。昨年1月にNHK土曜ドラマとして全4話(各49分)で放送され、ギャラクシー賞などを受賞。116分の劇場版として緊急公開となった。 在日韓国人の主人公・安和隆(柄本)は、人の心に関心を持ち、実業家の父(石橋凌)の猛反対を押し切って、精神科医の道へ。やがて、終子(尾野真千子)と結婚。第一子誕生まもなく、神戸を大地震が襲う。和隆は避難所で被災者の声に耳を傾け、その心に寄り添っていく……。そして、5年後、街は復興を遂げるが、和隆に新たな不幸が襲いかかる……。 脚本(桑原亮子)が素晴らしい。夫婦の描写が秀逸。2人の出会いは名画座。2人は別々で、小津安二郎監督の『東京物語』を観ていたのだが、あるセリフが電車の音にかき消されてしまう。終映後、終子が「あのセリフ聞こえました?」と聞くと、和隆も「僕も聞こえませんでした」。そして、翌日も名画座に出かけた和隆は終子と再会して、恋に落ちる。名シーンである。 ドラマ『本気のしるし』の劇場版も素晴らしかったが、昨今、映画もドラマの境目が分からなくなった。もはや、違いはメディアの違いだけだろう。緊急事態宣言下ではあるが、コロナ禍の今こそ、劇場で観る価値のある秀作。題名通り、心が癒やされ、主人公のような生き方がしたいと思った。柄本佑の代表作がまた一つ増えた。必見!

21/1/25(月)

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