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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの
佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
男と女 人生最良の日々
20/1/31(金)
TOHOシネマズ シャンテ
フランシス・レイの有名な“シャバダバダ〜”のメロディをバックに、季節外れのドーヴィルの浜辺を歩く男と女。フランス的洗練に満ちた恋愛映画の代表作として世界を魅了した、あの『男と女』(66)から53年を経た続編が、本作である。 もしも『男と女』を観たことがない、という方がいたら、即ご覧になって頂きたい。そうでないと本作がちんぷんかんぷんだから、というだけでなく、今観ても惚れ惚れとさせられることは間違いないから。そして、そんな観客にとってオリジナルキャストによる新作は、なおさら琴線に触れるだろう。 記憶を失いかけてもなお心は若々しく、チャーミングなジャン=ルイ・トランティニャンと、エレガントな中に変わらぬ可憐さを内に秘めたアヌーク・エーメの、なんと自由で魅力的なことか。センチメンタリズムなど微塵もない、いまだ夢を見ることを忘れない彼らの軽やかさに、心が震える。
20/1/27(月)