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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

戦場のメリークリスマス 4K 修復版

映画館で観た作品を日記帳に記録し始めたのは1983年からだ。当時のページを確かめると、10月10日の日付と『戦場のメリークリスマス』の題名が記載されていた。本来は5月28日が公開初日。地方なので公開が遅かったのだろう。同時上映が『スーパーマンIII』という田舎ならではの豪華な二本立てだった。後者を観たのはその1度きりだが、『戦メリ』は何度も観返している。大島渚監督の最大のヒット作。何年経とうが色褪せない名作だ。 「これまでの大島作品とはずいぶん感じが違う」。12年前に出演者の1人と会った時、こんな感想を話していた。『日本春歌考』『少年』『儀式』など60年代から70年代前半の社会性の高い作品とは確かに印象が異なる。ジャワ島の日本軍俘虜収容所が舞台という設定なのに戦時下の暗さが感じられず、男たちの友情や愛憎を感動的に描いているからだろう。大スターのデヴィッド・ボウイをはじめ、坂本龍一、ビートたけしら華やかな出演者の存在や美しく切ないテーマ曲が、作品に鮮やかな色彩を与えている。 9年前、大島監督の妻で女優の小山明子さんと言葉を交わす機会があったが、『戦メリ』が最も“好きな”大島作品と明かしてくれた。自分も同じ思いだ。

21/4/15(木)

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