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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

1917 命をかけた伝令

インディーズ映画ながら興収約31億円を記録した『カメラを止めるな!』は冒頭37分間、ワンシーンワンカットが大きな話題になった。本作は全編ワンシーンワンカット! もちろん、リアルではなく、そう見えるように工夫しているわけだが、継ぎ目を感じることはない。 第一次世界大戦のヨーロッパ戦線を舞台に、作戦中止の伝令を任された若き英国兵士2人が銃弾、爆撃が飛び交う最前線を駆け抜けるというストーリー。重要で困難なミッション、そして、明朝までのタイムリミットという設定。王道的なサスペンス要素が盛り込まれた戦争映画に、驚愕の映像体験を乗せた。これこそ大スクリーンでこそ観るべき作品だろう。 監督は『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞を受賞し、『007 スカイフォール』など007映画で新たなジェームズ・ボンドの魅力を引き出したサム・メンデス。既に本年度の賞レースを席巻。ゴールデングローブ賞では作品賞と監督賞を獲得し、10部門でノミネートされたオスカーでも有力候補の一角となっている。 観る者に没入感と臨場感を生み出すワンシーンワンカットには、多くの映画監督が挑んできた。フィルム時代にはロールチェンジがあり、自ずと限界があった。だから、これはデジタルの進歩が為せる技なのだろう。それにしても、超一流スタッフの腕にかかると、こんな大仕掛けもできるのかと驚かされる。映画はまだまだ進化できる。そんなことを思わせる大作だ。

20/2/14(金)

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