最近、何本か続いている、冷戦時代のソ連・東欧を舞台にした映画のひとつ。タイトルの「冷戦」は、東西冷戦のことだが、男女の関係を意味しているのかもしれない。 社会主義政権時代のポーランドの音楽家のカップルの、長い長い恋愛ドラマ。モノクロームの画面が、暗く沈鬱な国の雰囲気とシンクロする。末期のソ連に行ったことがあるが、それと似た雰囲気が、実によく表現されている。 全体主義の国でも、男と女は恋をする。しかし、国の体制が、恋が破れる原因になることもある。傷害があれば恋は燃え上がるというけれど、冷えてしまうこともある。 結局は、国も思想も体制も関係なく、人は恋をして別れる――と、一筋縄ではいかない恋愛映画。 音楽家たちの物語だから、音楽映画でもある。ソ連・東欧の、社会主義ならではの音楽は、いまでは「お笑い」ではあるのだけど、あの時代は、みんな真剣だったことを思い出す。

19/6/25(火)