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水先案内人のおすすめ

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現代の名人芸を追い続ける

山本 益博

1948年生まれ 料理評論家、落語評論家、プロデューサー

柳家権太楼独演会 鈴本30日会

先日、東銀座・中央会館での「柳家小三治独演会」に出かけた。いつもの通り、まくらが延々と長く、舞台袖にいるマネージャーから「そろそろ噺へ」と催促される始末だったが、それでも、客席の拍手を受けて、さらにまくらを続け、それからようやく長屋噺の『長短』に入っていった。 この『長短』が素晴らしかった。気の長い者と気の短い者とのやり取りだけで噺が進んでいくのだが、意図的に間合いを長くしたり短くせずとも、自然に長さんと短七の正反対の二人が描かれていた。まさしく、人間国宝の至芸! これほどの話芸の持ち主は、小三治以外だったら、柳家さん喬と柳家権太楼の二人ではなかろうか。ふたりとも、70歳代で、間もなく、小三治が「重要無形文化財技術保持者(人間国宝)」に認定された年齢に近づいてゆく。権太楼は落とし噺が面白くて「爆笑落語」の雄と称されるが、『唐茄子屋政談』『百年目』など、人情噺にも抜群の技量を発揮する。寄席での独演会はその力量を味わえる最上の舞台。柳家権太楼、今聴きどきである。

20/11/21(土)

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